日曜日, 9月 24, 2006

金木犀



ここしばらく秋雨前線やら台風やらでぱっとしない天気が続いていたが、週間天気予報をみるとやっとお天気マークが出てきてた。
せっかくの晴れマークだし、その後の週末はまたぐずついたお天気になりそうだな~と思っていると母から連絡があった。「権現岳登りにいかない?」

これは私たちのNew Year resolutionでもある。
私の両親は今は蓼科に永住しており、八ヶ岳の山並みを日に何度となく眺めている環境にある。いつも見ている山に登りたいのは心情である。天狗岳、硫黄岳、赤岳と登頂し、次は権現岳だと今年の抱負にしていたのが、今回やっとチャンスがめぐってきた次第だ。

ルートは小渕沢にある観音平という登山口から編笠山経由権現岳の権現小屋に1泊、帰りは西岳経由で富士見高原に下りてくるというプラン。

この日は予想通り抜けるような青空で、申し分のない天気になった。観音平からは富士山がとてもよく見える。

年老いた両親と一緒なのでかなりゆっくりペースで登る。前回の北岳での高山病のことがあるので、荷物は軽く深呼吸をしながら登ったのでかなり調子がいい。

最初のうちは林間コースなので、木漏れ日がとても美しい。
この柔らかい日差しの中にいると心の中のわだかまりや執着をすべて解き放つことができるような気がする。自然の中のとても小さな自分、その一部だと感じるからだろうか?

しばらくするとオコジョに出会った。苔むした倒れた大木を巣にしており、その中から顔だしたり、ひっこんだりしながらこちらを見ている。こちらはもう大感激で、こんなチャンスはないので一生懸命デジカメを撮った。彼らも私たちにとても興味があるようで、怖がりながらも一緒についてきてかわいらしい。

そうこうしていると、だんだんゴロゴロの石だらけになりかなり急登になってくる。両親はかなり苦しそうだったが、なんとか編笠山までたどりつくことできた。

そこからみる赤岳、阿弥陀岳、権現岳はもうそこにあるぐらい眼前に迫ってくる。
下から見るのとはずいぶん違う。

ここでランチをとり、青年小屋を経由して権現岳を目指す。
途中、ほしがらすに出会った。この鳥は、カラスではないのだか声がからすの濁音みたいな声で鳴く。全体の色は黒いのだが尾にかけて白く、ごま塩のように見える。この鳥はハイマツ(高山に生える低木の松)の実を好物にしており、高い山でないとお目にかかれない。

高度を増すにつれ、秋の景色が濃くなっていく。ミヤマダイコンソウの葉が真っ赤に色づき、ゴゼンタチバナの赤い実が美しい。

そして、権現岳に近づくにつれて、足場も悪くなり、鎖場を何度か通り越し権現小屋に到着。一番心配だった父もなんとか無事到着できてよかった。(私も高山病にはならなくてよかった!)

この小屋から山頂まではすぐなので、荷物をおいてピークを目指した。
権現岳は下からみると3つのピークがちょうど屏風のように見えるのだが、たぶん横にあるギボシと旭岳とこの権現が一緒に見えるのだろう。

ピークはとても小さくて、落ち着いて座れる場所もなかったが、天空にいるみたいだ。 富士山も見えるし、北アルプス、御嶽、南アルプスすべてが見える360度のパノラマ・・

ほんとうに天気でよかった。でないとこんなに視界は広がらない。

この日は権現小屋に泊まり、翌日は西岳経由で下山した。


東京に戻りオフィスへの道を歩いていると、ふっと金木犀の香りがした。
山だけではなく、都会にも目に見えない秋の気配を感じた瞬間だった。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いいですね。八ヶ岳ですか。


はやく私もタテシナでもオキナワでもいいから、ノンビリやってみたいものですね。


東京には、オコジョもカモシカもいませんものね。


でも、マーケットではクマも雄牛もたくさんいますので、なかなか抜けられないのが人生です。

maki さんのコメント...

こんにちは、エクスパットさん。

エクスパットさんはもしかしてハードな金融人生を過ごしているのですか?

クマや雄牛に襲われないように願うばかりですが・・