金曜日, 1月 15, 2010

お正月の風景-チェーザレ・ボルジアとスティング


年末からずっと忙しい日が続いたのでなかなかブログを書く時間も見当たらず・・・

新年を迎えた。


今年のお正月は真っ白な雪の世界が広がる蓼科で、大人だけで過ごした。


いつもなら子供たちがいてわいわいと賑やかなのであるが、今回はにワインやチーズを食べて楽しんだ。



短いお正月のトッピクをふたつ。

蓼科は雪が積もり、ちょうど、新しいスティングのアルバム、「If on a winter night」にぴったりのsituationだ。




http://www.youtube.com/watch?v=gFAleFnbRgw

冬の夜をテーマにトスカーナの家にクラッシックのミュージシャンを集めて作られたそうだが、とても素敵なのだ。クリスマスソングと言っても少し変わったケルトっぽいものや賛美歌、子守唄が収めれていて冬の夜に聞くにはぴったり。

映像を見てもらうとわかるが、冬の神秘性や怖さ、美しさを表現した歌が多い。特にジャケットの写真は蓼科の風景にそっくりだ。

私は蓼科の冬、誰もいないしんとした雪の道を歩くと心が清清しくなるのをいつも感じる。最も好きな時間である。



あとはもうひとつ、前から読もう読もうと思っていた塩野七生の本「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」を読んだ。塩野七生の本は歴史小説というのか伝記というか、文体が少々読み辛いのとイタリア人の人の名前と場所がたくさん出てくるのでちょっと大変だったけれど、面白ろかった。


主人公のチェーザレ・ボルジアは、池田理代子(ベルバラの人)が漫画を描いてくれたら嬉しいのに!というぐらい、めちゃくちゃかっこいい人だったそう。

ルネッサンス期のイタリアに生まれた人だが、父親はローマ法王アレッサンドロ6世なので法王の庶子である。もちろん法王だから結婚できないので庶子ということなのだが、妹に有名なルクレチア・ボルジアがいる。

ルクレチアは美しい人で男の人を次々と誘惑したとかで有名だが、(確か塩野七生の「世界の悪女~」という本に載っていたかと思う)、この本の中ではチェーザレの野心のために政略結婚を何度もさせられて可哀想だなあという印象。


古代にはローマ帝国として栄えた国だったイタリアだが、当時は都市国家がひしめきあい、その上に法王領もあるという混沌とした時代である。カソリック中心のヨーロッパは建前としては法王を立ててはいるし、法王としての権限もあるけれど、フランス、スペインが侵略してきたり、ドイツからの介入があったりとまさに戦国時代。

ボルジア家も元はスペインにいた家系であるというから、法王になることがその当時の建前の権力をにぎる大切なことだったということがわかる。今でももちろんイタリア人だけが法王になるわけではないが(カソリックの長なのだから)、当時のヨーロッパは大陸全体で奪ったり、奪い合ったり、結婚してつながったり、殺されたりと大変な時代だということが伺える。


その法王の息子として生まれたチェーザレは冷酷な人物として描かれることが多いそうだが、最初にイタリア統一を目指し、マキアヴェリ(君主論を書いた人)のモデルにもなったという君主としての風格のある人物。

最後は夢破れて31歳で亡くなるのだが、すごい人生である。


結局イタリアは近代に至るまで統一されることはなかったのだけれど、彼がうまく生き延びていれば歴史は変わったのかもしれない。

この本のお陰で、北、中イタリアの町の名前や地理関係は勉強になったということと、中世の頃に比べたら、今は過酷ではなくてずいぶん良い時代になったんだなと思った。(いろいろと問題は抱えているとはいえ) 時代の進化を感じた。


でもローマにある大好きなサンタジェロ城にはボルジアの間という部屋があり、ヴァチカンと地下でつながっていたということや、いろんな人物が監禁されていたところでもあるということがわかり、やはり中世のどろどろを感じさせる場所だったのである。


エンジェルの城なのに・・