水曜日, 10月 24, 2007

インド旅行記 - 最後に


最近のインド経済、株式市場の過熱ぶりを見るにつけ、現在のインドを見てみたかった。
もちろん、インドの歴史、史跡、釈迦の仏足跡やヒンドゥーの寺院など以前から興味のあるものはたくさんあるが、まずは今のインドをこの目で見てみたかった。

一言で言うと混沌、だろうか。
ご存知の通り、彼らは細かいカーストの世界、自分のいる場を享けとめながら日々を生きている。その雑多な人々の日々の営みがその生活を作り、街を形作っているような気がする。

インドという広大な国土において、人種は北部と南部では違うし、言葉、習慣、食べ物も違う。そのすごいエネルギーが渦巻く器をまとめるには、宗教の力が必要なのではないかと実感した。ヒンドゥーの神々の像や絵を見るとわかるが、あの迫力ある生々しい彼らのエネルギーをまとめるには神の力なくしては至難の業のように思う。

日々の生活の中に、神々がいて、感謝をして生きる。
カーストを肯定するというわけではないが、生まれたこの世を受け止め精一杯生きるということができる民族のような気がした。彼らのスパンはとても長い。
この世だけではなく、前の世、未来の世を見て物事を考えるのだから。

今回の旅は短く、デリーとジャイプールだけだったので、一端を見たにすぎない。
IT都市としてもてはやされている、南部のバンガロールなどはまた違うだろうし、ヒンドゥーの聖地、ベナレスはもっと違うだろう。

また、インドに来たいと思う。




気がついたこと

・ ホテルの値段は欧米並み。特にデリーのホテルは年々上がっているそうだ。


・ インドの交通事情は前述したが、とにかく交通法規というものは存在しないように思う。サイドミラーはない車が多い。また積載オーバーなのか、トレーラーが横倒しになって止まっているのを何度か目撃した。


・ デリー近郊の建設ラッシュは目覚しい。デリージャイプール間の道も以前はでこぼこの舗装されていない道もあったそうだが、現在はずっと舗装されていた。


・ デリーの街中ではあるが、比較的新しいビルが壊されているのを目撃。これは今まで営業していたビルが政府にいちゃもんをつけられ、壊さざるを得なくなったとのこと。こういうことはよくあるそうだ。 袖の下が足りないとか気に食わないからだろうか。


・ 道にいる牛は基本的には放し飼い。草原のない街に放牧されるとうわけだ。食料は人々から恵んで

もらうものか、道に落ちているものを食べる。なので、骨が出てがりがりに痩せている牛が多い。


・ インドの女性は身体の線が出るような服は着てはいけないということで、パンジャビドレスかサリーを着ている人が多かったが、デリーの中心にはTシャツにGパン姿の女性もちらほら。でもまだまだ珍しいようだ。


・ インド人は食後のお茶を飲む習慣はないようだ。合間に何かとチャイを飲むけれど。例えばお店に行くとチャイが出たり、お水が出たりする。


・ ムスリムではないインド人も外でお酒を飲む習慣はあまりない ようだ。カフェでお菓子を食べている人が多かった。確かに彼らはスナックとミルクでできた甘いお菓子が大好きみたい。日本では金箔をお菓子に使うが、インドでは銀箔を貼ったお菓子がたくさんあった。


・ 店では必ずディスカウントを要求する。食事代もだし、物を買うときもだ。私達はインド人夫妻と一緒にいたので必ず彼らがビルをチェックして支払いをしていた。あるジュエリーショップでのこと。ヴィーナさんが店員の前で友人の宝石屋に電話をして相場を聞き、見事ディスカウントをしてもらった。すごい演出である。こういう努力も大事なのだ。

・ かわいいデザインの靴はたくさんある。1000円ぐらい出せばビーズのついたかわいいサンダルは買える。靴の値段は日本よりずいぶん安いと思う。おもしろいことに、靴屋さんの倉庫は大体2階にあるみたいで、ストックは上から落ちてくる。ぼやぼやしてると頭に落ちて来るんではと冷や冷やする。とはいえ、従業員が多いので担当がちゃんと下にいるので大丈夫。下に人がいないときに落とすことはない。
・ 石鹸は100円ちょっとなので日本と同じぐらいだろうか?よく見るとunileverとあったので、あの多国籍企業じゃないと思いHPをチェックしたところインドでもビジネスを展開していた。Unileverはイギリスで創業した会社だが、起業まもなくインドに進出している。私が購入した石鹸はなんと1902年にインドで発売になったものらしい。歴史を感じさせる。


・ インドのアイスキャンデーは練乳を固めたサツマイモみたいな味だった。屋台でヴィーナさんが買ってくれたのでご馳走になったが、おいしかったしお腹も壊さなかった。インドでは歯磨きするのもミネラルウォーターでやらないとだめだ、という話があったけれど、私の場合結局お腹も壊さずにいられた。


・インドには素晴らしい工芸品がたくさんある。特にテキスタイル、更紗や刺繍、織物はとても美しい。芸術品である。インドでもハンドメイドは高い。ヒンドゥーは自然や神を具象化し、イスラムは具象化せずに幾何学化する。その二つの文化と芸術が融合することですばらしい芸術が生まれたそうである。ジャイプールにある伝統的なハンドメイドにこだわった手法を守り続けている更紗の工房も訪ねた。こちらでは木型で版を彫り、一つ一つ押していく作業を見学した。


・ サモードパレスでの朝食は、山を降りたマハラジャの庭園、サモードバーグでゆっくりいただいたのだが、この庭園は圧巻だった。というのも、まわりは乾いた砂漠地帯であるにもかかわらず緑あふれ、噴水の水が流れる広大な庭園だったからだ。富の偏在というかお金がかかったところはとことん素晴らしいと感じる。緑の中でゆっくりしているだけで風が通り抜け、夢心地になる。






・ ロハルハウスではシタールの演奏を聴いた。上に七弦下に12弦だったかを張ってあるとても大きな弦楽器である。ラジャスターン音楽は軽快かつ物悲しい感じだったが、私達が日本人だったからか、「幸せなら手をたたこう、パン、パン」っていう曲を披露してくれた。インドでも有名なのだろうか?と思ったらスペイン民謡だった。


・ インドの水の飲み方は、基本的にシェアするからだろうか?ボトルには口をつけずに口から離して流し込む。みんな器用にやっている。道端の人もコップというかかなり大きい入れ物を皆で回し飲みしていたが、上手に口をつけずに飲んでいた。


・ インドのトイレ事情。これについては事前にいろいろ聞いていたがやはりきつい。ホテルのトイレは水洗で紙もおいてあるが、空港などの公衆のトイレには紙はなく、インド式のトイレ(足を置いてしゃがむタイプ。和式に似ている)にはコップがおいてある。インド人はその水で洗い流すようだ。その後は自然乾燥か。水洗事情も悪く、洋式でも流れないことがあるので紙は流さずゴミ箱に入れる。(ゴミ箱が置いてあればいいが) ちょっとましなインド式はコップではなく、横に小さなシャワーがついていて、手動ウォシュレットとして使う。慣れないときついけど、紙を使わず最小限の水を使うというのはエコな感じがする。とはいえ日本人にはかなりきついかな。

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