ほぼ同時代に活躍した同じジャンルの作品を対比させることによって、新たな発見があったり、自分の好みを改めて確認できたと思う。
檜の絵を描いた狩野永徳と松林を描く長谷川等伯を対比したり、禅宗の尊師を描く雪舟VS雪村。
茶道ではなじみのある初代長十郎の茶碗と、安土桃山時代に芸術集団を率いた本阿弥光悦のの茶碗を対比。 光悦は書や絵もたしなむ多彩な人だったので、六歌仙の和歌を書いた巻物に、下絵として鶴の絵を宗達が書いたという「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」は素晴らしかった。
焼物の野々村仁清 VS 尾形乾山だったり、江戸時代の仏師、円空 VS 木喰だったり、奇想の画家として人気上昇中の伊藤若冲 VS 曽我蕭白 等等・・
作風としては宗達がいいなあ~とか、等伯がいいなあ~とか、円空さんの素朴な仏像がいいなあ~とか・・・ いろいろと楽しめた。
もちろんお茶を習っている身としては、長十郎や光悦の素晴らしい茶碗を見ることができた。
印象的だったのは、日本の絵は襖に書かれたこと。雄大な景色や大胆な動物や季節の草花や自然の風景を何帖にもわたる襖絵や屏風に描き、昔は部屋と一体化していたのだろう。日本独特の美意識、畳には何もおかず、襖により仕切った部屋の数々を飾っていた絵たちを想像する。
襖絵ではなく軸についても部屋中に飾るということはなく、床を作り、その空間に合うものを掲げたわけだから西洋の文化とは違うなと実感する。
朝日新聞のサイトに作品と巨匠たちについて詳しく載っている。
http://www.asahi.com/kokka/masterpiece/index.html
それにしても岡倉天心の「國華」創刊の辞
「美術は國の精華なり」
は素晴らしい言葉だと思う。
そういえば、以前見たドキュメンタリーで廃仏毀釈により荒れ果てた日本の寺にあった仏像を丁寧に修復し、文化財指定の基礎を築いたのは岡倉天心だったという。
日本の美術界にとってなくてはならない存在の方だったのだと思う。
もちろん帰りには、法隆寺宝物館による。
先ほどの喧騒とは打って変わって、ひっそりとして静かな空間である。
隣にはホテルオークラのカフェも併設されているので、ランチを取ってゆっくりしてから帰ることができて大満足。